不安と付き合うには

先の見えない状況

みなさんもご存じのように、新型コロナウイルス感染症が発生し、私たちの生活に影響を与えています。行動が制限され、様々な情報が飛び交っているなか、心も疲れてきていないでしょうか。先の見えない状況においては、不安が掻き立てられます。残念ながら、この状況はしばらく続くでしょう。そこで、現時点で考えられる不安との付き合い方について、まとめてみました。

ちゃんと食べて、しっかり寝よう

サイトの中でも、「こころの相談室から」という学内に掲示する広報紙でも、繰り返し伝えていることです。心が落ち着かないときには、いつもよりも食事と睡眠を整えることを心がけましょう。
外食がしにくかったり、外に行くことにためらいを感じたりしているかもしれません。そんな中でも、すぐに食べられるものや心がほっとするものを見つけてください。自炊派の人は腕を上げるチャンスかもしれません。作ってみたいと思っていた料理やお菓子にチャレンジしてはいかがでしょう。
長期休みのため、生活リズムが整っていない人も多いでしょう。毎日ある程度の時間をとって、しっかり寝てほしいところです。人ごみを避け、そして前後に手洗いをすれば、外出して体を動かすことは良質な睡眠にもつながります。幸い大学近辺には、人ごみはあまりなく、走ったり歩いたりするのに良い場所があります。家で筋トレやストレッチをするのもよいですね。

☆3月30日 追記
ここでの「外出」は、一人または同居の家族等と少人数で、人の少ない場所へ行くことを想定しています。買い物のついでに歩くくらいのイメージです。今後事態の推移によって変わることもあります。現時点でも、人ごみを避ける努力は行いましょう。 

たくさん笑おう

笑うことの健康効果について多くの研究があります。笑いはリラックスした状態で起こるので、不安を感じている最中には笑えないかもしれません。少し落ち着いているときに、あなたにとって笑えるものに触れてみましょう。くすっ、でも、ゲラゲラ、でも何でもOKです。動画でも本でも、思い出し笑いでも。

情報は取捨選択して

流れてくる情報すべてが正しいわけではありません。誰が、どこで、何のために送り出した情報なのかという文脈を読み取る必要があります。例えば、このページは、学生相談室の公認心理師が、本学学生相談室のウェブサイトで、学生のみなさんの不安の軽減を目的に書いているものです。
しかしながら、ネット上でぎゅっと要約された短文を目にしたとき、その中の言葉の強さに引っ張られて慎重な判断ができないことがあります。助詞がなく、誤認を承知で書かれた短文に目を奪われ、元記事を読むと、「なーんだ」という内容だったという経験をしたことがありますよね。〇〇万人、×%など見出しに使われる数字は、それが何か正確に見極めましょう。誰が何を数えたものなのか、分母と分子が何なのか。記事自体が歪められたもの、いわゆるフェイクニュースの場合もあります。また、それぞれの立場で発信された内容が、別の立場からすると「おかしい」と考えることもあります。だからこそ、情報に触れる際には、発信元などの背景にも留意してください。公式発表は押さえておいてほしいと思います。
やみくもに情報を追っていると、より不安が掻き立てられます。そんなときは、前述の項にもどってください。食べて寝て笑う。深呼吸も追加しましょう。

観察と記録

非常事態の経験は望んで得られるものではありません。なので、起きてしまっているこの状態を今後に活かすために、しっかり観察して、何かに記録しておきましょう。工学、薬学という実学を学ぶみなさんにとって、この経験は大きなものではないでしょうか。自分がどう感じたのか、不安に思ったこと、いら立ちを覚えたこと、周囲の反応。そういったものは、記録しないと消えていきます。事実は後からたどれても、そのときならではの感情は、思い出そうとすると歪んでしまうものなのです。紙に書いたり、SNSに上げたり、形は問いませんが、後から見返せるようにしておきましょう。
悲観的に思われるかもしれませんが、今回のような感染症の拡大や、自然災害はこれからも起きるでしょう。みなさんは、それらに立ち向かっていく、あるいは懐柔していく術を学んでいる過程にあります。学習に向かうためにも心身を整えましょう。